桜田るい♀
霧島大地♂
玄関のチャイムが鳴る
大地「ん?はーい」
るい「やあ」
大地「…」
るい「あれ?無反応?」
大地「やあじゃなくて…」
るい「え?なに?」
大地「今何時ですか?」
るい「えーっと、20時36分?」
大地「36分遅刻しといてやあじゃないだろ?」
るい「うるさいなー、細かいとモテないぞー?」
大地「それをお前が言うなよ」
るい「はいはい、まあ、立ち話もなんだから家入っていい?」
大地「はあ、いいよ、入れ」
るい「おじゃましまーす」
大地「ん?その袋は?」
るい「ほら、いろいろ買ってきたよー」
大地「一応飲み物用意してあったのに」
るい「いいのいいの、ほら遅れたし?」
大地「…お前駅何時についた?」
るい「あははー、さ、飲も飲も!」
大地「…マイペースめ」
るい「お褒めの言葉と受け取っておくわね」
大地「はいはい」
るい「ほい!カンパーイ!」
大地「乾杯」
るい「ふいー」
大地「相変わらずうまそうに飲むなあ」
るい「相変わらずちびちび飲むなあ」
大地「ほっとけ」
るい「そんで?なんかあった?」
大地「なにが」
るい「顔色悪い」
大地「そうでもなくない?」
るい「あと、飲もうって言うときは何か話あるときでしょ?」
大地「んー、まあ、そうかな」
るい「あとは、なんか元気ない」
大地「よくわかるな」
るい「さすがにわかりますよー」
大地「さすがにわかりますかー」
るい「そんで?どした?」
大地「んー」
るい「あー、はいはい、また迷っちゃったのね」
大地「なんか、自分ではよくわかんないんだけどさ」
るい「気付いたら落ちちゃうんだね」
大地「ほんとに、なんか、なんかなー」
るい「落ちるときの感じとかわかんないの?」
大地「わかってれば苦労しないんだよなー」
るい「そっか」
大地「うん」
るい「最近のは?」
大地「なんか、自信が持てないんだよね」
るい「例えば?」
大地「仕事とか、やりたいこととかに集中できなかったり」
るい「うん」
大地「それが引っかかって、ミスして…なんか」
るい「うん」
大地「はー、なんかいろいろ向いてないのかなー」
るい「向き不向きは誰にでもあるけど、うまく行くときは行ってるんでしょ?」
大地「まあねー」
るい「だったら向いてなくないよね?」
大地「…まあ」
るい「なんか毎回それ聞いてるけどさ、勘違いしてるだけだと思うよ?」
大地「勘違い?」
るい「本当はできるのに、できない、無理っていってばっかりでさ、思い込んでるだけなんじゃない?」
大地「そう思っちゃうんだから仕方ないだろ」
るい「じゃあ、思い込みなんだってまずは思ってみたら?」
大地「んー」
るい「思い込み激しいんだからそっちにも考えられるでしょ?」
大地「…そうかもね」
るい「だったらそんなに悪い方に思わなくても大丈夫だよ」
大地「…みんながみんなお前みたいに楽観主義者じゃないんだよ」
るい「別に楽観主義じゃないよ」
大地「マイペースな楽観主義者だろ?」
るい「…あのね、私は別にそうじゃない。これが普通なんだよ?」
大地「なにが」
るい「大地が落ちてるから周りがそう見えてるだけで、みんなそんなに弱くない。」
大地「みんな弱いんだよ」
るい「そうじゃない」
大地「なにが」
るい「だって、大地が頑張ってるの知ってるよ?やりたいことのために時間かけてるのも、そこでいろんな工夫してるのも知ってる。」
大地「…」
るい「だからちゃんと頑張ってるのになんで卑下するの?」
大地「…頑張ってるから、なんだよ」
るい「え?」
大地「頑張ってるから、努力してるから、それがなんになるんだよ」
るい「頑張ってるならいいじゃん」
大地「自分なりに頑張ってたって結果に結びつかないことだってあるだろ!だから慰めるだけの言葉なんていらないんだよ!…別に適当にやったって、間違いじゃないんだからさ…なんで頑張らないといけないんだよ、なんでそんなこと…」
るい「結果なら出てるんじゃないかな」
大地「…は?」
るい「形にならなくても見てくれてる人がいるなら、それはひとつの結果じゃない?」
大地「それでも結果が全てだろ」
るい「そうでもないよ、結果が全てなら、今、大地の周りに人なんてあつまらないよ」
大地「…」
るい「あのね、改めて言うけど、そんなに卑下しなくていいよ」
大地「でも」
るい「でも、も、だからもいらない。うんって言って」
大地「…」
るい「言って」
大地「…うん」
るい「よし、じゃあもう大丈夫だ」
大地「なんかいつも」
るい「ごめんは言わないで」
大地「…ありがとう」
るい「はい!じゃあ、もういいから、飲も?」
大地「はいはい」
るい「はー、悩みのあとのお酒もおいしいね!」
大地「んー」
るい「なに?」
大地「るいは悩んだりするのか?」
るい「あはは、悩まない人なんていないよー」
大地「例えば?」
るい「んー、褒めて欲しい人が褒めてくれないときとか?」
大地「…」
るい「…」
大地「…なに?」
るい「褒めてくれるの待ってるんですけど?」
大地「はあ」
るい「ちょっと、ため息付くようなこと?」
大地「いや、いつも俺の引き金を引けるのは君だけだなーって」
るい「ねえ、それって褒めてるの?」
大地「褒めてるよ、いつも動かしてもらってるからさ」
るい「もっとストレートな感じがいいんだけど?」
大地「…俺がそういうの不器用なの知ってるだろ?」
るい「あはは、確かに」
大地「…」
るい「ちょっと、話してるときにスマホいじるのは感じ悪いよ?」
大地「知ってる」
るい「知っててもいじるんだ?」
大地「ちょっとまって、これは今しかだめだから」
るい「なんでよ」
大地「はい、LINEみて」
るい「ん?」
大地「(君は素敵な人だよ、でもまあ、まだちゃんとは言ってあげない。なんか、悔しいし、…恥ずかしいからね。でも、そのうちちゃんと言ってあげるから、待ってなさい?なんて、少し偉そうかな。甘えたいときには甘やかしてあげるから、辛いときは素直に言う事。明日も頑張ろうね。)」
るい「…不器用すぎ」
大地「ダメかな?」
るい「…まあ、許す」
大地「ははは…あれ、まだなんだかうまく笑えないや」
るい「コップの水があふれたらさ」
大地「ん?」
るい「私がすくってあげるからちゃんと言って」
大地「…ありがとう」
るい「いいえ」
大地「じゃあ」
るい「カンパイ」
ーもくじー
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